「うちのIT担当、1人しかいないんだよね」
製造業・物流業・建設業のお客様とお話しすると、よく聞く言葉です。社員数50〜200名ほどの会社でも、情報システム担当が1人しかいない、あるいは総務と兼任しているケースは珍しくありません。
問題は、その1人が休んだり、辞めたりした瞬間に何が起きるかです。
「どこのパスワードを使っているかわからない」「バックアップはあるはずだけど戻し方がわからない」「サーバーが止まったときに誰に電話すればいいかわからない」
こういった事態は、準備をしていれば防げます。今回は、IT担当が1人しかいない中堅製造業が今すぐ取り組むべき5つのことをお伝えします。
なぜ「IT担当1人」が経営リスクになるのか
IT担当者が1人しかいない体制は、いわゆる「属人化」の典型です。その担当者の頭の中にしか存在しない知識・パスワード・手順が積み重なっていきます。
問題が起きるのはたいてい、次のようなタイミングです。
- 担当者が突然休む(病気・事故・介護)
- 担当者が退職を申し出る
- 担当者が異動・配置換えになる
- システム障害が起きて、担当者に連絡がとれない
どれも「突然」やってきます。対策は「起きる前」にしかできません。
やるべきこと①:使っているシステムと連絡先を一覧にする
まず取り組むべきは、今どんなシステム・サービスを使っているかをA4 1枚に書き出すことです。
業務システム(生産管理・在庫管理・会計)、インターネット回線やルーター、メールサーバー、クラウドサービス(Microsoft 365・Googleなど)——こういったシステムを一覧化し、それぞれについて次の情報を記録します。
- サービス名・ベンダー名
- 担当者の連絡先(電話・メール)
- 契約の更新時期
- 月額・年額費用
「うちは全部わかってる」という方も、実際に書き出してみると抜け漏れが出てきます。特に昔から引き継がれてきた古いシステムは要注意です。
やるべきこと②:パスワードと権限を整理する
IT担当者が1人しかいない会社でよく起きるのが、「あの人しかパスワードを知らない」問題です。
重要なシステムの管理者アカウントを洗い出し、そのパスワードを担当者1人だけが知っている状態を解消することが先決です。
具体的な対策としては:
- 緊急封筒の作成:重要なパスワードを印刷して封筒に入れ、「緊急時開封」として社長や管理職が保管する
- パスワードマネージャーの導入:Bitwarden(無料プランあり)などのツールで組織管理できるようにする
- 2名以上への権限付与:管理者権限を社長や上長にも付与しておく
「パスワードを管理するのが怖い」という経営者の方もいますが、誰も知らない状態のほうが圧倒的にリスクが高いです。
やるべきこと③:「誰でも最低限動かせる」操作手順書を作る
すべてのシステムのマニュアルを整備するのは大変です。だからこそ、優先順位を絞ることが重要です。
まず対象にするのは「これが止まったら業務が止まる」システムです。
- 受発注システムへのログイン手順
- 業務PCが壊れたときの初期対応
- インターネットが繋がらなくなったときの確認手順
- バックアップデータの場所と復元の依頼先
作るのは「IT初心者でも読んで動ける」レベルで十分です。IT担当者が書くのではなく、IT担当者に口頭で説明してもらいながら別の人が書くと、わかりやすいものができます。
やるべきこと④:バックアップの「戻し方」まで確認する
「バックアップは取っています」という会社はたくさんあります。でも「バックアップから実際に戻したことがある」という会社は、ぐっと少なくなります。
バックアップは取るだけでは意味がありません。いざというときに戻せて初めて機能します。
確認すべき項目:
- バックアップはどこに保存されているか(NAS・クラウド・外付けHDDなど)
- 最後にバックアップが正常に取れたのはいつか
- バックアップから復元するのは誰が・どうやってやるのか
- 復元は自社でできるか、ベンダーに頼む必要があるか
特に「ベンダーに頼む必要がある場合」は、そのベンダーの連絡先と対応時間を把握しておくことが不可欠です。
やるべきこと⑤:外部パートナーとの連絡体制を整える
IT担当者が1人しかいない体制では、「なんでも1人で抱える」には限界があります。重要なのは、頼れる外部パートナーとの関係を事前に整えることです。
現在付き合いがあるベンダーや保守会社があれば、次の情報を整理しておきましょう:
- 担当者名と連絡先(代表電話だけでなく直通・メールも)
- 何を頼める会社で、何は頼めないか
- 緊急対応は可能か(時間外・休日対応)
- 費用の目安
もし「特定のベンダーに丸投げで、他に誰もいない」という状況であれば、第三者の目線でIT全体を見てくれるパートナーを持つことを検討してください。
5つの対策をまとめると
| 取り組み | 緊急度 | 目安の作業時間 |
|---|---|---|
| ①システムと連絡先の一覧化 | ★★★ | 半日〜1日 |
| ②パスワード・権限の整理 | ★★★ | 半日〜1日 |
| ③重要システムの操作手順書 | ★★☆ | 1〜2日 |
| ④バックアップの戻し方確認 | ★★★ | 半日(復元テスト含む) |
| ⑤外部パートナーとの連絡体制 | ★★☆ | 数時間〜1日 |
まず「現状の棚卸」から始めてみてください
5つのうち、何か1つでも「うちはまだできていない」と感じたものはあったでしょうか。
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「まず何から手をつければいいかわからない」という状態から、一緒に整理していきましょう。初回のご相談は無料で承っています。