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「AIで何かやれ」と言う社長ほど、AIを使っていません

「AIで何かやれ」と言う社長ほど、AIを使っていません

「AIで何かやれないか」

社長にそう言われて、ツールを調べ始めた方に向けて書きます。

最初の1週間でやるのは、ツール選びではありません。社長本人に、AIを触ってもらうことです。

私は中小企業のIT化を支援していて、最近は生成AIの導入の相談をいただくことが増えました。その中で、はっきり見えてきたことがあります。

「何か」と言う社長ほど、AIを使っていません

「AIで何かやれないか」と言う社長ほど、ご自身ではAIを使っていません。

使っていないので、自分の困りごととAIが結びつきません。だから「何か」としか言えないのです。

これは社長が悪いという話ではありません。忙しい社長ほど、新しい道具を自分で試す時間がありません。ニュースや他社の話で「AIはすごいらしい」とは知っている。でも、自分の仕事のどこに効くのかは、触ったことがないので分からない。

その分からなさが、「何か」という一言になって担当者に渡されます。

担当者が先回りすると、どうなるか

言われた担当者は、まじめに動きます。

ツールを調べる。比較表を作る。料金を並べる。社内で使えそうな業務を洗い出す。そして社長に持っていきます。

ここで止まりやすいのです。

社長はAIを使ったことがないので、比較表を見ても判断できません。どの業務に効くかを並べても、実感がないので「本当に?」となる。担当者の資料が悪いのではありません。判断する側に、判断の材料になる体験がないのです。

そして、もう一度「何かないか」に戻ります。

困りごとを一番知っているのは、社長です

「何に使うか」を見つけられるのは、本当は社長です。

会社の困りごとを一番たくさん抱えているのは社長だからです。人が足りない。判断に時間がかかる。同じ説明を何度もしている。そういう困りごとを、社長は毎日持っています。

足りないのは、困りごととAIをつなぐ体験だけです。

だから、担当者が社長の代わりに「何か」を探しにいくより、社長が自分で触って「これは、あれに使えるな」と思う瞬間を作るほうが早い。

最初の1週間は、社長の隣に座る

私がこの相談を受けた時に、最初にやるのはこれです。

社長の横について、AIを一緒に触ります。

一般的な使い方の説明はしません。社長ご自身の仕事を題材にします。今日書かなければいけない文章、目を通さなければいけない資料、考えがまとまっていないこと。それをその場でAIに渡して、一緒に結果を見ます。

教えるというより、伴走です。社長が手を動かし、私は隣で「次はこう聞いてみましょう」と言うだけです。

AIのすごさは、説明されても伝わりません。自分の仕事で返ってきた答えを見て、はじめて伝わります。

担当者の方がこれをやるなら、社長の時間を1時間もらって、隣に座ることから始めてください。社長の仕事を題材にするのがポイントです。社内で難しければ、外の人に頼むのも一つの手です。私は、社長向けのプライベートレクチャーという形でお手伝いしています。

社長が「これ、使えるな」と言ったら

社長が自分で触って、自分の困りごとと結びつくと、話の進み方が変わります。

それまで「何か」だったものが、「あの業務に使えないか」になります。社長のほうから具体的な業務の名前が出てくるようになります。

ここまで来れば、担当者の仕事は「何かを探すこと」ではなくなります。社長が見つけた困りごとを、形にすることに変わります。ツール選びは、そこからで間に合います。

最初の1週間でやるのは、ひとつだけ

「AIで何かやれ」と言われると、何かを持っていかなければと焦ります。

でも、最初の1週間で持っていくべきなのは、ツールの比較表ではありません。社長がAIを触る1時間です。

「何か」の答えは、社長の中にあります。それを引き出すのが、最初の一歩だと思っています。

同じように「何か」と言われて止まっている方の、手がかりになればうれしいです。