最近、SES業界でも「カスタマーサクセス(CS)」という言葉をよく聞くようになりました。でも、「SESにCSって必要なの?」と思っている方も多いはず。この記事では、なぜSESビジネスにCSが必要なのか、具体的に何をすればいいのかをわかりやすくまとめます。

😰 まず、SES企業の「あるある課題」から

多くのSES企業は、こんな状況に陥っていませんか?

契約が更新されない 業界平均より低い継続率。毎年4割近くの契約がなくなっていく。
エンジニアがすぐ辞める SES業界の離職率は最大30%。IT業界全体(約12%)の2倍以上。
単価が上がらない 差別化できないから価格競争になる。結果、利益が圧迫される。
クライアントとの関係が浅い 接点は契約更新時だけ。「戦略的パートナー」ではなく「業者」扱い。

これ、実は「人を送って終わり」というビジネスモデルの限界から来ています。エンジニアとのやりとりが月1回の確認連絡だけ、クライアントとの接点が更新商談だけ——それでは関係が育ちません。

💡 カスタマーサクセスって何をするの?

CSというと「クレーム対応」や「アフターフォロー」をイメージする人も多いですが、それとは少し違います。

CSの本質は「先手を打つこと」。問題が起きてから動くのではなく、問題が起きる前に手を打つ。それによって契約が続き、信頼が積み上がり、単価も上がっていく——という考え方です。

項目 今まで CS導入後
クライアントとの関係 更新時だけ連絡 毎月定期的に接点
エンジニアの支援 トラブルがあれば対応 2週間ごとに1on1
提供する価値 人材を送る 成果にコミット
収益の作り方 新規獲得中心 既存の継続で積み上げ

🎯 目指すのは「三方良し」の状態

CSを導入する目的は、一言でいうと「クライアント・エンジニア・自社の全員が得をする状態を作ること」です。

🏢 クライアント プロジェクトがうまくいく、課題が早く解決される、定期的に報告が届く。「このSES会社、頼りになる」と感じてもらえる。
👨‍💻 エンジニア キャリアの相談に乗ってもらえる、資格取得を支援してもらえる、孤独を感じない。「ここにいると成長できる」と実感できる。
📈 自社 契約が続く、単価が上がる、採用に強くなる。新規開拓コストをかけなくても売上が積み上がっていく。

数値目標として立てると、こうなります。

指標 現状 1年後 3年後
契約継続率 60% 75% 90%
エンジニア定着率 70% 80% 93%
平均単価 60万円/月 67万円/月 75万円/月
年間売上 3.6億円 4.4億円 6.8億円

🤝 クライアントに対してやること

「定期的に連絡する」だけでは不十分です。仕組みとして設計します。

契約開始時のキックオフ
担当者・エンジニア・自社CS担当が集まり、KPI・連絡ルール・エスカレーション方法を最初に合わせる。「なんとなく始める」をなくす。

毎月の定例MTG(90分)
稼働状況・パフォーマンス評価・課題と改善提案を報告。契約更新の4週間前に設定することで、更新判断をスムーズにする。

四半期ビジネスレビュー(QBR)
部門長レベルを交えた上位レビュー。KPI達成状況の可視化と次期提案を行い、「業者」から「パートナー」へとポジションを上げる。

ヘルススコアで解約の予兆を察知
契約更新意向・エンジニア評価・課題解決率などを点数化。スコアが下がり始めた段階で手を打つ。「気づいたら解約」を防ぐ。

👨‍💻 エンジニアに対してやること

エンジニアが辞める主な理由は「給与が低い」だけではありません。「成長できない」「孤独」「この会社にいる意味がわからない」という感覚が引き金になることがほとんどです。

エンジニアが転職時に重視すること:
① 安定して働ける環境(53.8%) ② 成長できる環境(40.4%) ③ 技術を伸ばせる環境(38.3%)
給与だけが理由ではない、ということがわかります。

入社・配属時のしっかりしたオンボーディング
配属初日にCS担当が同行、1週間後・1ヶ月後と段階的に面談。最初の孤立感をなくすだけで、早期離職はかなり減ります。

2週間に1回の1on1
キャリアアドバイザーと30分。業務の状況・悩み・次のアクションを話す。定期的につながり続けることが大切。

資格・学習の支援
AWSやAzureなどの受験費用は全額負担、合格時には最大10万円の報奨金。「成長を応援している」という姿勢が定着率を上げます。

離職の兆候を早期キャッチ
1on1の連続キャンセル、Slackの反応がない、勉強会を連続欠席——こうしたシグナルを定義して、24時間以内に初期対応する仕組みを作る。

🔄 うまくいくと、こうなる

CSが機能し始めると、いい意味での連鎖が起きます。

エンジニアが成長 → サービス品質UP → クライアントの信頼 → 収益が安定 → エンジニアへの投資
この循環が回り始めると、新規獲得に頼らなくても成長できる

SES事業のM&A市場でも、定着率が高く離職率が低い会社は評価が大きく異なります。CSの取り組みは、将来の企業価値にも直結するんです。

📝 まとめ

SES業界のカスタマーサクセスは、要するに「クライアントとエンジニアの両方を、ちゃんと大切にする仕組みを作ること」です。

難しく考えなくても、まずは「定期的に連絡する・面談する」から始めるだけで変わります。「人を送るだけ」から卒業する、最初の一歩を踏み出しましょう。

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